「長年の付き合いがある荷主から『商品も預かってくれないか?』と頼まれた」「事業所の空いている車庫スペースにプレハブを建てて倉庫として活用したい」。運送事業を営む中で、保管業務への展開を考えるのは自然な流れです。実際に、多くの運送会社様が事業拡大の一環として倉庫業への参入を検討されています。

しかし、この一歩を「運送業の延長線上」という感覚で安易に踏み出すと、知らないうちに法律違反の状態に陥ってしまうという大きなリスクが潜んでいます。運送業と倉庫業は、同じ物流業界にありながら、準拠する法律も行政の管轄も全く異なります。本記事では、運送事業者様が倉庫業を始める際に特に陥りやすい「3つの罠」について、専門家の視点から徹底解説します。

罠1:「一時保管」のつもりが「無登録の倉庫業」になっている罠

まず最も多いのが、「これは運送に付随する一時的な保管だから大丈夫だろう」という思い込みから生じる罠です。

【よくある誤解】
「うちは配送センターだから、荷物を一時的に置いているだけ。倉庫業の登録なんて必要ないはずだ。」

【知っておくべき事実】
確かに、運送契約に基づく、運送途上での貨物の仕分けや積み替えのための一時保管(いわゆる「荷さばき」)であれば、倉庫業登録は不要です。しかし、その行為が以下のいずれかに該当する場合、実態として「倉庫業」とみなされ、登録が必須となります。

  • 運送費とは別に「保管料」という名目で料金を収受している。
  • 荷主との間で、運送契約とは別に「保管契約」を結んでいる。
  • 保管期間が運送に通常要する期間を超えて、長期間にわたっている。
  • 出荷日が未定である。

この境界線の判断を誤り、無登録で倉庫業を営んでしまうと、倉庫業法違反として「1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」という重い罰則の対象となる可能性があります。コンプライアンスを軽視した結果、会社の信頼を大きく損なうことになりかねません。

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罠2:車庫を勝手に倉庫にすると「運送業法違反」になる罠

次に、自社の資産を有効活用しようとする際に陥りやすい、さらに深刻な罠です。

【よくある誤解】
「ここは自社で所有している土地(車庫)なんだから、倉庫として使おうが自由だろう。」

【知っておくべき事実】
運送業の許可を取得した際の「車庫」は、単なる土地ではありません。それは、運輸局に対して「事業用自動車を駐車するための施設」として申請し、認可を受けた運送事業の根幹をなす施設です。その認可された車庫の一部または全部に建物の建築して、無断で倉庫という別の事業の用に供することは、運送業法上の「事業計画の無断変更(車庫の目的外使用)」にあたる可能性があり、行政処分の対象となるリスクがあります。

この罠を回避するための正しい手順は、以下の2つの手続きを同時に、かつ整合性を取って進めることです。

  1. 運送業法に基づく手続き:車庫の一部を倉庫に転用する面積分だけ、車庫を縮小する「事業計画変更認可申請(減坪申請)」を運輸局に行う。
  2. 倉庫業法に基づく手続き:転用したスペースに建築した建物にて「倉庫業登録申請」を運輸局に行う。

私たち行政書士法人シグマでは、この複雑な同時並行申請を数多く手掛けており、両方の法律に矛盾が生じないよう、万全の体制でサポートします。

罠3:車庫の上屋は「倉庫の基準」を満たさないという物理的な罠

法的な手続きをクリアしても、最後に物理的な壁が立ちはだかります。

【よくある誤解】
「トラックを入れている上屋は、屋根も壁もあるから、そのまま倉庫として使えるはずだ。」

【知っておくべき事実】
倉庫業法が定める「施設設備基準」は、皆様が考えている以上に非常に厳格です。そもそもトラックを入れている上屋の建築基準法上の用途は「倉庫業を営む倉庫」として建築されていますでしょうか。

倉庫業を営む倉庫では、建物の強度に関する基準は明確に数値化されています。

  • 床の強度:1平方メートルあたり3900N(約397kg)以上の荷重に耐えること。

一般的な車庫として建設された上屋や、簡易的なテント倉庫では、これらの強度基準を満たしていないことがほとんどです。基準を満たすために構造補強の改修工事を行おうとすると、数百万円から、場合によっては数千万円もの費用が発生し、「コスト的に見合わない」という現実的な壁に直面するケースが非常に多いのです。

運送×倉庫の専門家だからできる「現実的な」提案

これらの複雑な「罠」を回避し、お客様の事業拡大を成功に導くために、私たち行政書士法人シグマは以下の強みを発揮します。

運送・倉庫の「ダブルライセンス」対応力

弊法人には、運送業と倉庫業の許認可法務に精通した行政書士が所属しています。これにより、運送業の事業計画変更と倉庫業の登録という、二つの法律が交錯する手続きをワンストップで、かつ矛盾なく進めることが可能です。

「やめる勇気」も提案する誠実な診断

私たちは、安易に「できます」とは言いません。既存の建物を倉庫に転用したいというご相談に対し、図面と現況を精査した結果、「この建物を改修して登録を目指すのは、コスト的に見合わない可能性が高いです」といった、事業性を踏まえた正直な診断(Noの提示)も行います。無理な改修を勧めるのではなく、「屋根のない野積倉庫として登録する」「登録が不要な範囲で活用する」「別の物件を探す」など、お客様にとって最も現実的で有益な選択肢を共に考えます。

自己判断は危険です。まずは図面を持って専門家の無料診断へ

運送事業の延長線上にあるからこそ、倉庫業の兼業には特有の法的リスクが伴います。しかし、これらの「罠」は、正しい知識と手順を踏めば、すべて回避することが可能です。そして、それを乗り越えた先には、荷主からの信頼向上と、新たな収益の柱という大きなビジネスチャンスが待っています。

無許可営業のリスクを抱え続ける前に、ぜひ一度、私たちにご相談ください。お手元に「建物の図面(建築確認済証など)」をご用意いただければ、Zoom等を活用したオンラインで無料で簡易診断を承ります。

行政書士法人シグマでは、倉庫業登録や物流法務に関するご相談を承っております。自社倉庫の要件確認や手続きの進め方に不安がある方は、お気軽にご相談ください。

行政書士には法律上の守秘義務があります

ご相談内容が外部に漏れることは一切ございません。